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性犯罪の一のレビュー・感想・評価

性犯罪(1967年製作の映画)
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冒頭、煙草の煙がくゆる劇場内でピンク映画を観ながら己の股間をいじくる福間健二に始まって、外に出ると数多の映画看板が埋め尽くす新宿の風景。ステキすぎる。話は殺人やら強姦やら相変わらず酷いもんだが、主演の吉沢健と足立正生脚本のカラッとした若者像と若松孝二のヌーベルバーグかぶれがいつになくマッチしていて楽しい。同じ足立脚本の『狂走情死考』とは打って変わって、人殺しても何のそので、海に出掛けて風紀を説く婦人団体のおばちゃんを引っ掛けて遊んでいる。やけに思索的なセックス考もバカバカしくてイイ。『気狂いピエロ』そのまんまな自爆エンディングは、同時期公開の小林信彦脚本の『進めジャガーズ 敵前上陸』とネタかぶり。すぐパクるんだから。
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