RYUYA

机のなかみのRYUYAのレビュー・感想・評価

机のなかみ(2006年製作の映画)
4.0
「無垢でキラキラしたJKに恋しちまったおしゃべりクソ家庭教師の、ちょっぴりエッチな恋物語」
俺がBOOKOFFの店員だったらこんなクソ映画、店の前のワゴンセールのジャンクロードヴァンダム映画の隣にブチ込むね。
誰にでも書けるようなセリフに、演技も素人クサくて、FIXだらけの代わり映えのない構図にヘドがだらだら。
映画をバカにしやがって。
マジふざけんな、と、思っていた...



タイトルが出て、後半に入るまでは。

してやられたの一言。
前半の面白さをまるまる犠牲にしたその大博打は、見事ボロ勝ち。
おバカな恋物語は、男女の真を突く濃い物語へと変貌。

「ある仕掛けの為に前半をわざと下手に撮る」といえば近いところで言うと行定勲の『ピンクとグレー』が印象的だが、僕はアレはクソだと思っていて、結局どっかでカッコつけてねーかお前・感がダダ漏れで、下手クソにするのも下手なキモロン毛監督が撮ったいけすかねぇ映画っていう悪印象しか残らなかった。挙句、カッコよく見せなきゃいけないはずの後半がもう最悪で。モノクロにしたりよくあるセックスシーンを入れてみたりが、もう最悪で。「お前がカッコイイと思ってるそれ、超ダセーよ」の一言。

なぜピングレを引き合いに出しボロカスに言ったかというと、『机のなかみ』を観ていて、まぁしつこいくらいにピングレ脳内プレイバックが起きたからで。
そして全部、吉田恵輔が勝利していたから言いたくなって。

『ピンクとグレー』と『机のなかみ』と、あ、『犬猿』も。
この3つの共通点は、「その時代の、ある種の日本映画をバカにしている」という点。
ありきたりな青春映画、ありきたりな自主映画、ありきたりな恋愛映画をそれぞれ自ら「こうだろ?」とやって見せてバカにしている。
そして「違う、こうやるんだ」と気づかせようとする。
でも、その"やり口"が吉田恵輔は非常に大胆で巧く、悪びれず図々しく真似るも、なぜか愛らしいというのに対し、行定勲はただ悪意を陰湿にぶつけているような気がして、なんかイヤになる...

例える。
役者界の"面白い人"が芸人のギャグを真似て愛想笑いをとって調子こいてるのと、フジモンが全部分かっててめっちゃ後輩のギャグパクってるのとではどっちが上か。わからっしゃい。
RYUYA

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