Tully

パプリカのTullyのネタバレレビュー・内容・結末

パプリカ(2006年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

夢と現実が混同していく世界。夢を操り、夢をリンクする。現実にはどんなに願っていてもうまくいかないこともある。だから夢の中に逃げ望み叶えてずっと繋がっていたいと思う。時々あまりにもリアルな夢を見て慌てて目覚めたとき、その一瞬はまだ夢なのか現実なのかわからなくなることがある。心のどこか、いや覚醒していても思い悩み、どうしたらいいのか。このままこの場所からなくなってしまいたい、でもなくなったら何も生まれないではないか。そう、繰り返す葛藤。何が夢と現実を隔てているのか?ここに居ること、もしかしてあそこがここかもしれない。思い通りにならない不自由な世界で、溢れ出る欲望が様々なものと溶け合って混じり合い1つに繋がっていく。パプリカは自分であって、自分はパプリカなんだ。ここに居るのは、私でなくて貴方なのかもしれない。当然のように思うようにならなくて、もどかしく繰り返し繰り返し 「現実なんだよ」 と言い聞かせ、悩み胸を掻き毟る。パレードの楽しそうな音が聞こえる。これこそが現実逃避への道なのだ。「男と女」 「光と影」 「若と老」 「生と死」 「過去と未来」 パプリカが見せる対比をこと細かに作られている。パプリカの七変化は可愛い。自分はこうでありたいと創造された 「自分」 であるから、妖精になったりピエロになったりフランス人形になったり。パンチラのミニスカはちょっと恥ずかしいですけどね。「夢は冒険活劇映画みたいなものよ」 パプリカが可愛く言う。確かに夢を見た後に、涙が流れていたり、手にぬくもりがあったり、妙に疲労感があったりする。夢の中でパプリカと出会い、初めてみた彼女に今までの不安も忘れ自分のすべてを委ねてみようと思えるくらい、パプリカの魅力はなんなのだろう。映画館が立ち並び、自分が制作した映画のクライマックス。パプリカに導かれ夢へ入り込んでみてはいかがでしょうか。
Tully

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