こたつむり

ロッキー4/炎の友情のこたつむりのレビュー・感想・評価

ロッキー4/炎の友情(1985年製作の映画)
2.0
鑑賞する前に抱く“期待”とは。
劇薬ゆえに取り扱いに気をつける必要があります。適度の期待ならば、映画を楽しむ為のスパイスとして良い効果をもたらすのですが、過剰なる期待は映画本体の価値を損なわせるほどに危険なのです。

そして、僕が思うに本作は。
ボクサーのように“期待”をギリギリまで減量してから臨むべき作品。しかしながら、前作の終わり方が最高に格好良かったために僕は油断してしまったのです。「評判が芳しくない『3』だったけど結構面白かったな。だから、『4』も楽しめるんじゃないかな」なんて思ってしまったのですね。

しかし、それは愚。愚。愚の骨頂。
やはり、先人の助言は謙虚に受け止めるべきなのです。

まあ、そんなわけで。
賛否両論分かれる本作でありますが、物語至上主義者には相性が悪い作品だと言えましょう。批判を恐れずに言うならば、削ってしまっても物語が成り立つ場面が多過ぎます(アポロの入場場面や、過去を振り返る場面や、トレーニング場面や、義兄であるポーリーの誕生会の場面など)。

また、その一方で。
アポロがもう一度リングに立つ理由や、敵方のドラゴの背景などは描き込み不足。彼らが何を背負い、何の為に闘い、そして何処に向かおうとしているのか。もしも、それを真正面から描いていたら第一作目を凌ぐ傑作になり得たかもしれない…というのは負け惜しみでしょうか。

そして、前作までのテーマだった“愛”。
確かに“愛”の物語は前作で終わりました。しかし、本作のテーマである“変化”と対比して、変化しない“愛”を深く掘り下げていれば。もしくは、彼らが積み重ねてきた歴史を表す“台詞”を効果的に使っていれば。カレーに隠し味で砂糖を入れるかのように、今回のテーマが明瞭に浮き上がったと思うのです。

まあ、そんなわけで。
ロッキーを素材とした音楽番組を観ているかのような作品でありましたが、それでも前向きに捉えるならば。冷戦末期にソ連を題材とした娯楽映画を作ることが出来た当時の雰囲気。これを味わうための作品だった、というのは苦しいでしょうか。

なお、「一番削ってしまっても問題ないのはお前の感想じゃ」というご批判は、重々承知の上なので受け付けておりませぬ。悪しからず。

To be continued…→→→『ロッキー5』
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