このレビューはネタバレを含みます
冒頭、ひとり草原で踊るシーンのキム・ヘジャ。そして、バスの中延々と踊り続けるラストシーンのキム・ヘジャ。その間約2時間救いのない話にわたしは途方に暮れる。
息子の冤罪を信じあちらこちらと衝突を繰り返し彼の無実を証明しようと奮闘する母。母親の努力が実り大団円、となるように物語を進める母物語となるはずもなく、彼女の所業は、真実を埋葬しなければならなくなった自身にブーメランとして戻ってくる。息子の無実の追求の為に罪を犯し、息子の真実を知るにより真実を枉げて覆い隠す。
キム・ヘジャは何度も問う。こころの中にある悪いことを清めてくれるツボがあります。打ちますか？
キム・ヘジャの希望は無残にも打ち砕かれ、その絶望を別の母親が背負うのだろうか。キム・ヘジャは彼女のいうツボを自らに打つ。果たして、こころの中にある悪いことは清められたのか。バス旅行の車中、唐突にはしゃぎ踊りだすキム・ヘジャの表情はそこには窺えない。車窓の向こうの夕陽にすべては溶け込ませてしまう。何もかも。
2009年製作公開。原案ポン・ジュノ 。脚本パク・ウンギョ 、ポン・ジュノ 。監督ポン・ジュノ 。
