Tully

ミセス・ダウトのTullyのネタバレレビュー・内容・結末

ミセス・ダウト(1993年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「ロビン・ウィリアムズ」 の出演する映画は、温かいコメディタッチが多いけれど、個人的にこの作品はその中でも特に優れたものだと思っています。深いメッセージ性と、バラエティ性の融合が実に素晴らしい。妻に接近してくる男に対する 「ミセス・ダウト」の皮肉や意地悪は、実にさらりとしたもので小気味良く笑いが満載です。「ミセス・ダウト」 という架空の人物の存在はあくまで嘘ではあるけれど、生きていく上で、時には嘘が必要なことは沢山ある。夫は 「ミセス・ダウト」 に変装するようになってから、それまでの自堕落な生活を改め、自ら料理など様々なことを学び、仕事でも運を切り開いて行く。また家族達も、「ミセス・ダウト」 に出会ってからは、子供達は家事を手伝ったり、勉強にも熱心に取り組むようになり、別れた妻もその子供達の変化に喜び、それまでギスギスしていた家族の中に笑いや温かいものが芽生えていく。こういった温かい関係が、離婚する前に築けていたならよかったけれど、でも、この関係は離婚を経験し、夫が 「ミセス・ダウト」になったからこそ築けたもの。ラストシーンで 「ミセス・ダウト」 がTVから語りかける言葉が実に奥深い。ここは、この作品を観ている全ての人達へのメッセージだと思います。戸籍上での夫婦関係ではなくとも、一つ屋根の下で皆が一緒に暮らす家族でなくても、目には見えない絆によって、更に結びつきが深くなった家族の姿が最後にはありました。「ミセス・ダウト」 という 「嘘」 によって、深まった家族の関係と家族一人一人の成長がとても微笑ましく、「家族の良さ」 を実感できると思います。
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