Yutaka

スターシップ・トゥルーパーズのYutakaのレビュー・感想・評価

4.6
面白すぎるし斬新。映画1本まるまる第二次大戦時のプロパガンダ映画をオマージュしたような軍国主義を風刺した映画になっていて、しかもそれを逆手にとってそのマッチョイズムな社会でしか形成されない友情の美徳を描いているのが面白い。もしかしたらこの体育会系な友情や義理がイデオロギー的に描けない今、ヴァーホーヴェンは敢えてそれを風刺するという体でこれを描きたくて撮ったのかもしれない。
『ロボコップ』では若干ノイズに感じた政治的風刺が今作ではそのまま主題になっているから、正統な上位互換と言ってもいい。バイオレンス描写も容赦なくて最高だし、虫のヴィジュアルも気持ち悪くて良い。空襲すれば良いのにひたすら歩兵が凸って死にまくるし、学習能力無さすぎてちゃんと人間サイドは無能だった笑。ラスト、手を当てて"He's afraid"は笑った。作品そのものが風刺だから、デタラメでも滅茶苦茶でも良いんよね。
軍国主義に基づいたスポ根な友情物語を風刺するというスタンスを取る事によって、それを正当化していないにも関わらず真っ向から美徳として扱える無敵でギルティな作品。
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