TakahisaHarada

地獄の黙示録のTakahisaHaradaのレビュー・感想・評価

地獄の黙示録(1979年製作の映画)
3.9
ベトナム戦争下での特殊任務を描いた戦争映画。終盤、カーツの王国のシーン以降はモンド映画っぽくもある。
序盤、ウィラードのモノローグに「彼の物語は俺の物語」とあるように、ウィラードはカーツと同じ運命を辿っていく。
カーツが辿り着いたのは「北ベトナム兵やベトコンが米兵よりも弱い、劣った存在であるというのは思い上がり」とか「戦争の無意味さ、虚しさ(無意味な戦争を継続する米軍への疑問)」みたいな考えなのかなと思った。ウィラードは「彼の物語が懺悔録なら俺のも同じだ」とも言っていて、懺悔というところが思い上がりや無意味な戦争への反省と繋がる。

カーツが王国を築いていたのは、収容所で思い知らされた「理性的判断が敗北を招く」という考えに従い、自分も野性的な本能に基づく組織を持ったってことだったのかな…。米軍に抵抗したいのか、米兵を感化したいのか、はたまたカーツ自身明確な目的を見出だせていないのか、目的が釈然としなかったし後半は分からない部分も多かった。
収容所での体験はたしかに壮絶で説得力があったし、カーツの「ダイアモンドの弾丸に貫かれた」「歯をむしり折りたかった」みたいな独特の言い回しも印象に残った。

有名な「ワルキューレの騎行」のシーンがとにかくかっこよかったし、ヤシ林を掃射するナパーム弾の描写の迫力もすごい。
はらわた、音楽をかけながら登場、「石器時代に戻せ」発言、プレイメイトの慰問、どれも実話に基づいてるってのがすごい…。
クリーンが死ぬシーンでは死んだ後も母親からのテープが惰性で流れ続けていて、単なる死亡フラグとは一戦を画した残酷さですごく印象に残った。そのクリーンのローレンス・フィッシュバーンと序盤出てくるハリソン・フォードはキャスト見るまで気付かなかった…。