ふう

さくらももこワールド ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌のふうのレビュー・感想・評価

4.7
🐠化石のとれそうな場所で 星空がきれいで
ぼくはきみの首を そっとしめたくなる

『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』は権利の関係でDVD化も配信もされていないので、評判はずっと聞いていたけれど、なかなか見る機会がありませんでした。
こどもの日だからかな? CSでの放送を偶然キャッチできてようやく!見ることができました。やったね!

図工の時間に「わたしの好きな歌」というテーマで絵を描くことになったまるちゃんが、「めんこい仔馬」という歌と絵描きのお姉さんと出会い、たくさんの音楽と空想の世界と人との別れを経てちょっぴり成長するおはなし。
各所に音楽パートが詰め込まれ、PVのような、ミュージカルのような、音楽とさくらももこの絵が融合した不思議な世界が描かれています。
大瀧詠一、細田晴臣、たま… 好きな人にはたまらないセレクトですよね!

🐟️🐟️🐟️

この映画のまるちゃん同様、私にも憧れのお姉さんがいまして。
小説と古い少女マンガが地層のように積み重なった部屋に住んでいて、革細工で生計をたてていて。ちょっと人を馬鹿にしたようなひねた笑い方をする恐ろしく美人で聡明なお姉さん。
小さい頃はじめて彼女のアパートに連れていってもらった時のことは鮮明に覚えています。

アパートの2F、西日の強いワンルームの小さな部屋。本が乱雑に積んであって、少しほこりっぽくて静かで、外に出るとたくさんの猫がいて。そんな自分の愛するもので構築されたお城。
あまりにも美しく魅力的で、ずっと胸がどきどき高鳴っていました。
「私も大きくなったら都会に出て、愛するもので少し寂しいお城をつくろう」と思って、思って、思い続けて上京したような。
はじめて一人暮らししたとき、自分の王国ができたようで嬉しかったな。

今は結婚して、ひとりぼっちの王国は失われてしまいました。
まるちゃんの好きなお姉さんは、あの後夢を追いかけ続けることはできたのでしょうか。
佐藤さんは、ずっと、お姉さんを見つめ続けてくれるのでしょうか。

ほんの少し彼らの未来に不安を思ってしまうのは劇中歌の『星を食べる』のせいでしょうね。
まるちゃんとお姉さん(と、佐藤さんと友蔵)で水族館に行ったとき、あまりにもお姉さんが綺麗で人魚姫のようで、その横顔を何度も見ていた、といったまるちゃんの心の声ではじまるこの曲。


化石のとれそうな場所で
星空がきれいで
ぼくはきみの首をそっとしめたくなる


それは人魚姫のように消えてしまいそうなお姉さんへなのか
お姉さんの夢を奪う佐藤さんへか
仔馬に乗ってどこまでも飛ぶことができるまるちゃんへ向かっているのか

歌詞とストーリーは関係ないことはわかっているのだけれど、
この曲のシーンがあまりにも美しくて、ちょっぴり考えてしまいました。


まるちゃんと原風景と空想の世界への旅路。
GWの締めくくりに最高の映画を見れて幸せです♪
ふう

ふう