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マリアの受難のpikaのレビュー・感想・評価

マリアの受難(1993年製作の映画)
4.5
キター!これが見たかったんだ!トム・ティクヴァ!!トム・ティクヴァ監督には「一人の人間の生涯」だけを撮っていて欲しい!などと身勝手な願望が沸々と湧くくらい「パフューム」然り今作然り、ティクヴァ監督のこっち系がツボをくすぐる!笑

作家性迸りまくりの独特奇異な演出が冴えまくってて見所てんこ盛りに名シーンだらけ!
純真無垢で生まれながらにして原罪に囚われたマリアの受難、題名そのまんまの展開が苦しくも切なく、徐々に狂気を帯びていく展開が最高にたまらない。
説明なく主人公マリアの一日が淡々と描かれ、彼女の背負う辛さをダイレクトに痛いほど表現しつつも倫理観の是非なんかが頭を掠め、先がどうなるのかとワクワクしながら見るのが怖いようなソワソワした何とも言えない感情に襲われながらめくるめく独特なシーンを堪能していくってのが最高に楽しい!

幸も不幸もその人次第とは言いつつも与えられるだけで選択肢を排除された価値観は抑圧となるのか、手紙にして押し殺してきた記憶と感情が目覚めるカタルシスと今在る場所や未来を直視した時の無為な衝撃が半端ない。
低予算で超小規模な設定でマリアの生涯から人間とは、意思とは、生きるとは、選択とは、責任とは、未来とは、自由とは、と独特な映像演出で語り尽すティクヴァの語り口が至高!
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