dita

男はつらいよ 寅次郎忘れな草のditaのレビュー・感想・評価

4.5
新作公開に向けて過去の寅さんに会いに行こうシリーズ十一作目  

東学長の前にピアノが…!と思ったけど、これは大映ではなく松竹映画なので石立鉄男もキョンキョンも賀来千香子も出てこないよね(当たり前)。

とふざけながら観ていたのに、真っ直ぐに愛を伝える水原と、泣きながらそれを受け止めるめぐみちゃんの辺りからうるうるし始め、燃えるような恋…あたりからぼろぼろ泣き、最終的には「わたし生きてる…?」というくらい息が詰まって胸が苦しくなった。

ここにもあそこにも愛が溢れていた。

のに。

愛が足りないからじゃなくて、愛が多すぎて一緒になれない、いや、一緒にならなかった二人。お互いの「寂しさ」という核をお互いの「愛」で囲えたはずなのに、形のない愛が形になってしまうといつか壊れてしまうくらいなら、と寂しさを剥き出しにしたまま離れ離れになる二人。

そして、お兄ちゃんの精一杯の見栄を精一杯守りながら、周りに背中を向けて財布にお札を入れるさくら。「もうちょっとお金持って来たらよかったね」で、もうダメ…吐くかと思った。

とらやの庭先に咲いていた忘れな草の花言葉は、「真実の愛」「私を忘れないで」

カラフルな洋服を纏っていたリリーが最後に着ていた服は白いシャツ。
白百合の花言葉は「純潔」「威厳」

今日ほど独りでいることが辛い夜はない。わたしの愛はどこにありますか…。
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