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禁じられた遊びのearlgreyのレビュー・感想・評価

禁じられた遊び(1952年製作の映画)
2.5
 好奇心からであっても、死んだ動物のために墓をつくって弔ってやるっていうのが、“禁じられた遊び”というのはあまりしっくりこないなと思いながら観ていた。

 問題なのは、よその所有物である十字架を盗んだこと。
 しかも彼らが子供、しかも貧乏な農家の子と、すべてを失った戦災孤児であり、親にねだったりお小遣いで買ったりできなかったから生じた悪だ。

 だからこの世界の舞台装置として、戦争は絶対に必要だったのだろう。
 平和な世の中で大人たちにも余裕があったら、2人の求める墓づくりを親が聞き出して、手伝ってもらったり、健全な死生観の育成や情操教育を導いてもらったり、その過程で褒められてもおかしくない「遊び」のはずなのだ。
 非常時だから生まれた罪と、非常時だから生まれた結束。非常時だから成立した背徳感からくる芸術を味わった。

 貧困と、戦争。守られない約束と、家族との死別。
 ミシェルとポーレットが置かれた無力さの中で、唯一自由にできることが物言わぬ他の命を弔うことだったのかな。それがあの執着を生み出したのかもしれない。
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