好奇心からであっても、死んだ動物のために墓をつくって弔ってやるっていうのが、“禁じられた遊び”というのはあまりしっくりこないなと思いながら観ていた。
問題なのは、よその所有物である十字架を盗んだこと。
しかも彼らが子供、しかも貧乏な農家の子と、すべてを失った戦災孤児であり、親にねだったりお小遣いで買ったりできなかったから生じた悪だ。
だからこの世界の舞台装置として、戦争は絶対に必要だったのだろう。
平和な世の中で大人たちにも余裕があったら、2人の求める墓づくりを親が聞き出して、手伝ってもらったり、健全な死生観の育成や情操教育を導いてもらったり、その過程で褒められてもおかしくない「遊び」のはずなのだ。
非常時だから生まれた罪と、非常時だから生まれた結束。非常時だから成立した背徳感からくる芸術を味わった。
貧困と、戦争。守られない約束と、家族との死別。
ミシェルとポーレットが置かれた無力さの中で、唯一自由にできることが物言わぬ他の命を弔うことだったのかな。それがあの執着を生み出したのかもしれない。