うーん、ちょっと期待外れだったな。予告で絶対これ好きなやつって確信して、大事に鑑賞しようと温めてきたのを満を持して観たんだけどな。
文明の正しさが届かない田舎の閉塞感と、信仰の怖さを包む世界そのものは陽の光に満ち溢れているという、陰と陽の取り合わせは最高だ。コントラストが強いほどに、惹かれるものも大きくなる。
個人的に残念に感じられるのは、やはり終盤の展開かな。
乗り気じゃなかった主人公・ダニーがそのまま踊り続けてクイーンとして担がれるのをあっさりと受け入れたこと、恋人・クリスチャンが不審に感じていながらも薬を自分で飲んだこと。
ダニーが（序盤からいまいち信頼の置けない描き方をされていたにせよ）恋人より村を選んだきっかけも、肩透かしな印象が残る。
それらいくつものちょっとした違和感の連続によって終盤に一気に現実に引き戻された挙句、最終的に行き着くのが、熊の骸に包まれて焼かれる小屋。この旅の終着地としてはどうにも弱いと思わざるを得なかった。
