OASIS

2001年宇宙の旅のOASISのレビュー・感想・評価

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)
4.5
午前十時の映画祭にて。
途中に10分間の休憩は実にありがたい。
内容は言わずもがな、スタンリー・キューブリック監督によるSF映画の金字塔であります。

話の難解さは色々解説した本やサイトがあるのでそこに任せて。
50年以上経過してもなお、映し出される宇宙に未来を感じてしまう程の映像美には感嘆しました。
宇宙船内のインテリアやその他のディテール等もハイセンスでありながら、直線的でどこか無機質な本当の意味で機械のようなデザイン。

猿の投げた骨が宇宙船に変わり、「美しき青きドナウ」が流れるオープニングまで一切の台詞無し。
その後も極力台詞を廃し、映像のみで語るスタイル。
印象的なのは、人間側は感情が無いように思える程無表情であるのに対し、機械であるはずのHALだけが生命が宿っているかのように「死にたくない」や「怖い」などの言葉を吐いてより人間らしさを感じさせる所。
話し方もあいまって段々とHALが可愛く見えてきました。

そして何より驚いたのは「無音」で表現される事の多さ。
劇場が一体となって息苦しさを感じ、固唾をのんで見守るという体験は最近では「ゼロ・グラビティ」に近いものがありました。
前者が「静」の宇宙なら後者は「動」の宇宙といった所でしょうか。
奇しくも、革新的なSF映画と評される両者が同じ劇場で上映されているという事に喜びを感じてしまいました。

つまり何が言いたいかというと、この映画でポップコーンを食べる奴は万死に値するという事です。
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