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ドッグ・デイズのmareのレビュー・感想・評価

ドッグ・デイズ(2001年製作の映画)
3.5
ドキュメンタリーチックでバラバラな人物と時系列で進行する群像劇であり、各々が何かに対して強烈なストレスを抱え、猛暑の極限状況下で人々の滑稽さを炙り出した胸糞映画。ザイドルの捻くれた視点が常時観てるこちらを煽り不快にさせ、彼のフィルモグラフィの中では最も尖りを感じた。目眩のするような炎天下で人間の正と負のエネルギーが膨張し、日常的な狂気が発露する様を延々と見せつけられ、他人事であるようなリアリティを記録的な映し出した本作にはストッパーと呼べる存在が皆無。虚構であることを拒絶し続けるような冷たい質感はあるものの、奔放で無責任な人間の業を一切隠すことのない無軌道な生命力すら感じる。際限なく壊れていく人間の愚かさを嘆いているようでもあり、決して珍しい風景ではないと感じてしまう自分もいる。
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