あ

吸血鬼のあのレビュー・感想・評価

吸血鬼(1932年製作の映画)
4.7
保養地に行ったら影に誘われて怪しい館へ...という支離滅裂に見えてしたたかに摩訶不死後な世界へこちらを誘い込む、アリスインワンダーランド的語り口の面白さ、ほんと「ここいうのでいいんだよ」の一言に尽きます。

オカルトに取り憑かれた主人公の紛れ込んだ世界がおかしいのか、または主人公がおかしいのかという展開はありがちながらも、吸血鬼に噛まれた娘のおぞましい顔や、棺桶の中の死に顔など、またまた印象的な顔のアップでしっかりと演出しきっていたところは流石でした。

ただ、影が独立して動くといった、特殊効果を使ったシュールな演出は、他の作品と比べたら毛色が違うように思えましたが、導入がしっかりしていたので、不思議とブニュエルなどのそれよりもしっくりきました。

ドライヤーって何やっても面白いんだな、の一言に尽きます。
あ