TakahisaHarada

アパートの鍵貸しますのTakahisaHaradaのレビュー・感想・評価

アパートの鍵貸します(1960年製作の映画)
4.0
上司に要求されるがままアパートの自室を貸し、良いように使われている側の独身男が主人公という時点で面白い。ラブコメの枠組みで、いい人で野心家でもある主人公バクスターの成長が描かれてる。終盤「医者に従いメンチュ(人間)になります」と自分の人生の主導権を取り戻すのが良いし、その結果キューブリックに思いが伝わるラストも好きだった。「Shut up and deal」で終わるのも粋。

割れた鏡で部長とキューブリックの関係に気付く、キューブリックを守るために他の薬やカミソリの刃を隠すバクスターの気遣い、自殺かと思いきやシャンパンとか、観る側を信頼して説明しすぎない作りになってるのが良かった。
隣人が医者というのがしっかり活きてくる展開も良かったし、最後の最後まで誤解が解けない(どころかエスカレートしてる)のも笑った。

1960年の作品なのでそういう時代なのかコメディなのか分からないシーンもいくつかあった。
・バクスターがキューブリックの情報(盲腸の手術歴まで)を調べ上げてると本人に言うシーン。今ならドン引きだけどあの程度のリアクションだったのは時代なのか…?
・バクスターとマージのダンスのクセ
・キューブリックをビンタで起こす医者(観た後で調べたら、あのシーンは医者が実際に立ち会い蘇生法をアドバイスしてたらしい)

腐ったリンゴ大集合のシーンは、臆面もなく5人普通に集まって話してる感じが面白くて笑ってしまった。