ヨウ

イージー★ライダーのヨウのレビュー・感想・評価

イージー★ライダー(1969年製作の映画)
4.2
マリファナの密輸で大金を儲けたワイアットとビリーは、その金で大型バイクを手に入れ、謝肉祭が行われるニューオリンズを目指して旅を続けるが…



腕時計を捨て、自由を求めてどこまでも続く荒野を駆けていく二台のバイク。そんな解放感で始まった物語は、南部に進むにつれて当時のアメリカの抱えた幾つもの闇に囚われていきます。ラヴ&ピースやドラッグで革命が起こせると信じていた若者たちは、理想のアメリカを捜しに旅立ちましたが、遂に見つけることは叶いませんでした。
「自由」を体現する彼らを待ち構えていたのは排他的な現地の慣習で、モーテルでは宿泊を断られ、レストランでも客扱いされず、挙句には自警団に夜襲もされる始末…
旅の仲間が語るセリフがこの映画を象徴している様で印象的です。

「(人々は)君らを怖がっているんじゃないよ。君らが象徴しているもの(自由)を怖がっているんだよ。」

古くからの伝統、習性を打ち砕いて新しい思想を捲こうとする若者…それは大人達にとって自分の理解を超えた存在でした。裏を返せば、自分達のこれまでの生き方を否定される感じがして、それ故に彼らが恐かったのかもしれません。
当時の歴史背景や、画期的な音楽、刹那的な彼らの生き方だけでなく、「自由」への憧れと怖れといった現代でも通ずるテーマが根底にあるからこそ、時代を越えた名作なのだと感じました。
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