竜平

プレデターの竜平のレビュー・感想・評価

プレデター(1987年製作の映画)
3.8
救出作戦の命を受けとあるジャングルへと入る屈強な特殊部隊員たちがその最中、得体の知れない「何か」と出会ってしまう、という話。

記念すべきシリーズ第1作目。前半はミリタリーアクションのような様相で進みつつ、中盤からモンスターパニック、そしてSFバトル的な方向へシフトチェンジしていくという、初めて見たときはその多彩な作風に少々驚いた記憶。主演は我らがアーノルド・シュワルツェネッガー、筋肉モリッモリ。初っ端から漂う彼の「只者でない感」がいい感じ。元々の任務とは別で流れる不穏な空気、なかなか姿を現さない“ヤツ”の存在とじわじわ迫り来る恐怖感など、ちょっとしたホラーテイストがいいスパイスになってたり。サーモグラフィーによる「ヤツ目線」とか、シルエットで歪む背景とか、気づいたら合わせられてる赤い照準とか、今ではシリーズでお馴染みとなっている演出も当時はなかなか斬新且つワクワクとドキドキを誘うものだったんだろうなと、想像してみたりして。肝心の“ヤツ”なんだけどもこれがべらぼうに強くて、しかも残忍。そんであのシュワちゃんですら歯が立たないという、得も言われぬ絶望感ね。そうそう、今作は展開的にもなかなか燃える。もはや無理ゲー、からの後半のやるかやられるかの死闘よ。山中のジャングルという閉ざされた空間で、登場人物は少人数、強敵はたった一体、そんで多く語らない不気味な設定と、とにかくシンプルながらに旨味がギュッと詰まっているように思う。もちろん今見ると映像なんかはちゃちかったりするけど、古さをそこまで気にすることなく楽しめる良作、なんじゃないかな。

じつは劇中で一切「プレデター」の単語が出てこないあたりもおもしろい。かっちょいいアーマーにハイテク武器の数々、なのに素顔がブサイクという、そんで登場人物にも言われちゃうという、ここらへんは個人的笑いどころ。日本の漫画『GANTZ』は今作あたりからもヒントを得てそう、ってのは勝手な予想。
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