紅梅シュプレヒコール

旅立ちの時の紅梅シュプレヒコールのレビュー・感想・評価

旅立ちの時(1988年製作の映画)
4.0
『12人の怒れる男』『狼たちの午後』で知られるシドニー・ルメット監督が、若くして逝去した名優リヴァー・フェニックスを主演に迎えて描く1人の少年の成長譚

今作は、FBIに追われ、逃亡生活を送る両親の息子である主人公が、新たな転居先となったニュージャージーで様々な出会いを通して自分の道を見出していく姿をドラマティックに描いた作品となっています

逃亡生活中に生まれた子どもという難しい役柄を見事に演じ切るリヴァー・フェニックスの役者力に感嘆とさせられました

家族を危険に晒すことだと承知しながらも、自分の欲求に揺らいでいく成長途中の少年の心情を汲み取った演技は必見

勿論、彼だけでなく逃亡犯の両親を演じたクリスティーン・ラーティー、ジャド・ハーシュ両名の演技も素晴らしかったです

両名の説得力ある演技のお陰で、息子に対するエゴイスティックな愛情に向き合い始める後半からの展開は感動的なものとなっていました

自分の人生と家族愛の天秤に苦しむ主人公が苦悩の末に選び出す道とそれに対して家族はどう答えるのかが見所

観終わった時には、きっと爽快さを感じることができるティーンネイジャー物の傑作です