ろく

マンハッタンのろくのネタバレレビュー・内容・結末

マンハッタン(1979年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「少しは人を信じなきゃダメ」

40過ぎたオッサンが17歳の女子に諭されるという森鴎外舞姫的な話。

いろんな見方が出来るからこの映画をガーシュウィンで語っても、モノクロで語ってもマンハッタン(ニューヨーク)で語っても男女の中で語ってもいいかもしれない。僕もそう語りたい「欲望」に苛まれている。でもね……

小賢しいんだよ、お前。最後にそう言われている気がして背筋が寒くなった。そうなんだ、いろんな語りが「小賢しい」の。そしてそんなこと気にせず、「ちゃんとしろよ」と言われてしまった気がして反省ですよ。なんだ、この最後の爆発力。全ては最後のシークエンスのためにとってあるんじゃねえかと思わせる爆発力。17歳の(僕からみたら)小娘に言葉にすっかり殴られてしまったよ。

考えてみればウディ・アレンを好きな男(あ、僕もそうです)って小賢しいよね。インテリを気取り(似非だよ)見てくれが悪くてもインテリならいいと思い(だからシャツは必ずインだ)さらには早口でまくしたて(相手の事より論破が大事)さらには頭が禿げ上がっているのすら魅力だと思い(簾に拘り)女は消費するものだと思いマウントをとり(すぐそんなのわからないのか風なリアクションをし)、言葉の端々に学者や文学を入れたがる(プルーストなんか読んだことないのに必ず入れる)。

そんな男に「たまには人を信じなさい」なんて。それは鉄槌ですよ。そりゃー目も泳ぎますよ。そりゃー何も言えなくなりますよ。最後のウディ・アレンの目の泳ぎっぷりを見なさいよ。そしてそれを「ざまあ」といえないこっち側ね。

最後ガーシュインの音楽がなっているときにはすっかり自省。でもそこに行くためにウディは走る。走っている姿はいろんな「殻」を外した姿なのかもしれない(「鎧」なんて言ってあげない。それはスカスカの「殻」なんだよ)。
ろく

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