青二歳

人間の約束の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

人間の約束(1986年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

原作は老人介護によって家族が崩壊していく“老熟家族”(初版1985年)。吉田喜重監督によるミステリー。マイホーム資金を出す代わりに長男の元に暮らす事になった老夫婦。ある朝妻が扼殺されていた。家族全員に動機がある…
三國連太郎の痴呆芸が素晴らしい。恐い…老妻を演じる村瀬幸子も見事。口紅を塗られて微笑むところなんてたまりません。そして三國連太郎の口づけ。

「早く死なせておくれよ〜」「だっておウケケケケッ」と真似する同室のババアたちの不気味さ。シーツを千切りケタケタと笑う痴呆老人の饗宴。鏡に写る顔、鏡への語りかけ、こんな映画で吉田喜重らしい不条理の匂いを出さんでも…とは思うものの面白い。
ほか印象的なのは、三國連太郎が恩給をもらっている特攻で死んだ息子の存在。当時戦後40年。40年間、戦死の喪失をどう埋めてきたのか分からないが、痴呆と共にその痛みが蘇ってしまう。

あ佐藤浩市が若い刑事役で親子共演してます。こんな化け物みたいな役者を父に持つって大変そう…杉本哲太は相変わらずどうにもならん大根。面白いからいいけど。
あとまだ尊属殺人があった頃ですね。途中から刑事の存在感が薄くなるけど、一応ミステリー部分では尊属殺人か嘱託殺人かで大きくことなる点がポイントになってきます。現代では成り立たない仮説だけど、興味深いくだりでした。
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