人間の約束の作品情報・感想・評価

「人間の約束」に投稿された感想・評価

Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

3.0
‪「人間の約束」‬
‪冒頭、都内の新興住宅地。死亡した老母。葬式、参列、警察の捜査。絞殺したと自首する夫。取調室で失禁、雨の夜、夫婦の絆、出棺、今家族の絆を見詰める…本作は吉田喜重が前作の戒厳令以来十三年ぶりの劇映画でカンヌに出品もされた三國連太郎主演のドラマで最近でも多く扱われる題材“尊厳死”をテーマにしている分、映画慣れしてない方でも十分に感動する事だろう。だが、今迄の吉田喜重に見られた前衛かつ非現実的要素を含む斬新なカメラワークもカット、アングル、構図が無く、あの六十年代から七十年後半の作風を好む私にとっては“ガッカリ”である。まず、本作の原作「老熟家族」を一読した監督は映画化を進めたのだが、まずこのテーマは彼以外でも十分に描ける作家は日本にはわんさかいる。だが、戒厳令以降に似た様な映像を撮り続けても飽きられるし、敢えて原点に戻ったのかも知れない…そこは推測だし、分からない。でも本作が全く低評価ではない…当たり前だが。まず一見老夫婦の死の悲しいドラマ仕立てに見えるが、冒頭からパトカー、刑事が自宅に上がり込み、調査してるシーンはサスペンスの要素が多少なりともある。これは結局、嵐が丘を超えて最後の劇映画 鏡の女たちにも通づるものがあるのは、彼の作品を観た人にはわかると思う。物語は三世代が同居する家庭を通して夫婦の愛と親子の絆を見詰めるのだが、この死にたいと懇願する老親を抱える家族の気持ちがどんなものかを考えると、さぞ大変なんだろうと思うも、まだ自分の家族がこの様な環境が起きてない分、正直心の底からの辛さ、激務は分からない。後に味わうであろう、と言うか誰しも経験する物語なのだが、本作に尊属殺人も描かれてる分、本作の様な現実が絶対とは言えない…。‬余談だが、劇中でテレビからアン・ルイスの六本木心中が流れてきて、あ〜この時代の曲かぁと懐かしさを感じた。よく“あ>無情”と聴いてた曲だ。‬ ‪三國の芝居には圧巻だ。この様な芝居は後の伊丹十三の大病人でも見せていた。良作だ…‬
床ずれ

床ずれの感想・評価

4.0
後期吉田喜重作品の中で一番面白い。前作の『戒厳令』で北一輝を演じた三國連太郎が、監督の次の作品ではこんなに不潔な老人になってしまうとは。汚く、正気を失ってしまった親たちに寄り添いたいけど生理的に受け付けられない葛藤。新藤兼人の『絞殺』を思い出す。
つかさ

つかさの感想・評価

4.0
表現というか見せ方がとても面白い。
老いをテーマに、キャラクターの関係性など現実的な表現している部分と、キャラクターの内面を画として表現している部分があり、誰しもが持つ老いへの不安を見事に映像化しているのではないだろうか。
私はまだ20代なので、不安や恐怖は薄い。
しかしこの映画を観て感じることはあった。
大勢の方に観てほしい映画。
ワンシーンである老人たちの鬼畜大宴会を笑えるか、恐怖を覚えるか。
三國連太郎の口元ばかり見てしまうな
水鏡ごしに表情を映し出すカット、前を走る霊柩車を捉えたカットも動きが妙で良い
音楽はハリー
猫

猫の感想・評価

3.0
張り詰めた水鏡に映る老婆の顔がほんの少しの揺らめきで崩れていく様。細野晴臣の音楽はギリギリの所でホラーに転落することを回避している。
otom

otomの感想・評価

3.8
痴呆老人を抱える家族がテーマの吉田喜重作品。従来の作品に比べて観やすい事は確かだが、痴呆老人のエロスなどお馴染みの吉田喜重のテーマも生々しく盛り込まれている。全体的に重い内容で、ボケ始めの三国連太郎が鏡に映った自分に挨拶するシーンは特にゾッとした。そして河原崎長一郎のセリフ"人間には決して口に出して言ってはいけない事がある"はズシっときた。
tk33220

tk33220の感想・評価

4.4
まず桶に入った水鏡の揺らめき具合からしてただ事ではない。三國連太郎がいる病室で「死なせてくれ」と隣の病床から聞こえてくるなど、音から入ってくる演出が冴えている。
私が好きな喜重監督ではないが、彼の作品の中ではとっつきやすく万人受けするであろう秀作。
本作の三國さんは☆5を遥かに上回る名演!
青二歳

青二歳の感想・評価

3.6

このレビューはネタバレを含みます

原作は老人介護によって家族が崩壊していく“老熟家族”(初版1985年)。吉田喜重監督によるミステリー。マイホーム資金を出す代わりに長男の元に暮らす事になった老夫婦。ある朝妻が扼殺されていた。家族全員に動機がある…
三國連太郎の痴呆芸が素晴らしい。恐い…老妻を演じる村瀬幸子も見事。口紅を塗られて微笑むところなんてたまりません。そして三國連太郎の口づけ。

「早く死なせておくれよ〜」「だっておウケケケケッ」と真似する同室のババアたちの不気味さ。シーツを千切りケタケタと笑う痴呆老人の饗宴。鏡に写る顔、鏡への語りかけ、こんな映画で吉田喜重らしい不条理の匂いを出さんでも…とは思うものの面白い。
ほか印象的なのは、三國連太郎が恩給をもらっている特攻で死んだ息子の存在。当時戦後40年。40年間、戦死の喪失をどう埋めてきたのか分からないが、痴呆と共にその痛みが蘇ってしまう。

あ佐藤浩市が若い刑事役で親子共演してます。こんな化け物みたいな役者を父に持つって大変そう…杉本哲太は相変わらずどうにもならん大根。面白いからいいけど。
あとまだ尊属殺人があった頃ですね。途中から刑事の存在感が薄くなるけど、一応ミステリー部分では尊属殺人か嘱託殺人かで大きくことなる点がポイントになってきます。現代では成り立たない仮説だけど、興味深いくだりでした。
kentaro

kentaroの感想・評価

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繰り返される鏡のモチーフ
「これは かがみです。うつっているのは自分です。」

何故おばあちゃんが死んだのか、というミステリーのようでありながら、強烈な切実さによって物語が進行していく。
これは大傑作「鏡の女たち」へとつながる。
時々みせる構図の鋭さには目を瞠るしかない。

吉田喜重を前衛だと言ってはいけない、遠ざけてはいけない。
しかし、これは正真正銘、正統な最前衛。

音楽は細野晴臣。
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