owlマン

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアのowlマンのレビュー・感想・評価

3.8
余命少ない二人。海を見たことがないルディとマーティンは車を盗んで病院を脱走して海を目指す...

『天国の流行を知っているか?』
『海の美しさを語り合うことさ...』

おしゃれ~

本当に泥臭く男臭い友情モノのロードムービーでした。

盗んだ車がもとでギャングに追われ、銀行強盗で警察に追われ、ドタバタ劇のようで二人のタイムリミットが見えないところで迫っているのが感じられて、そわそわしてしまいました。

女性を買ったり、プレスリー好きの母親のために車を買ったり、とことん楽しむ姿は後悔しないために今“生きている”実感を得ているみたいでしたね。

もし最後に横にいるのが、
自分のために戦いってくれる友達がいてくれたら、天国に行くのも怖くないのかも知れない。

...でも友より後から天国に行きたくないかな?

海の話は尽きないでしょうね!なんたって世界はほとんど海なんですから!


病室を抜け出して、
“檸檬”と“塩”をみつけてテキーラを飲んでいる場面は、下戸なのに美味しそうで“これこそ自由を感じている”瞬間でした。


二人がレモンに囲まれている場面で、
梶井基次郎さんの短編『檸檬』を思い出しました。

少し私語りです。

病や借金などで鬱屈した日々を過ごす「私」。果物屋で好きな“檸檬”を買い。本屋に“檸檬”を“爆弾”と見立てて放置して逃走し、本屋が木っ端微塵になる事を愉快に妄想しながら歩いた(簡単なあらすじですいません)

病気で余命少ない人が生きてる事を実感できる存在として“鮮やかで”“香りゆたか”な“檸檬”といった存在が、視覚で、嗅覚で、五臓六腑で《生》を実感する感覚が重なって思えました。

まだ見ぬ“天国”や“壊れる書店”を思い描いて逃走する姿も、“生”への活力に見えました。
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