LEONkei

ショー・ミー・ラヴのLEONkeiのレビュー・感想・評価

ショー・ミー・ラヴ(1998年製作の映画)
4.0
何でも思い通りになる人生なんて面白くも何ともない。

読書や音楽をひとり部屋で過ごすような地味で目立たない16歳の少女アグネスは、月のように静かに虚ろう。

ファッション話しやパーティーで友達らと遊びまくる14歳の少女エリンは、太陽のように燦々と輝く。

近くにいるのに決して交わるはずのない月と太陽は、互いに意識しながらも近づいては離れるもどかしさ。

人は自分にないモノに興味を示し惹かれ魅力に変わる、それは誰もが持つ個性で魅力的で面白いじゃないか。

みんな違っていい。

特にアグネスの痛いけな思春期の少女は痛々しくも有り、揺れ動く感情が素晴らしく表現されている。

主要な人物以外は演技経験のない人々を起用しているように、何処新鮮でリアリティに溢れ自然に物語に溶け込める。

特にアグネス役の〝レベッカ・リリエベリ〟は地味で影の薄い役柄を演じているが、最も存在感を発揮し他とは違う自然体の演技が役柄と正反対なのに魅力的。

好青年のように感じるヨハンがちょっと可哀想な気もするが、彼はきっと良いお父さんになるだろう。

今聴けば懐かしくも感じる使用される楽曲も良いが、今観ても十分通用するテーマのガールズ青春ムービー。

これが22年前に制作され『タイタニック』を凌ぐヒットを記録した事に意味が有り、スウェーデンの人々に受け入れたれたのは国柄・国民性の違いに他ならない。

また10代の女子や孤独に苛まれている若者が見れば、もっと共感しモヤッとしたココロが少し晴れやかになるかも知れない。

何でも思い通りになる人生なんて面白くも何ともない、と分かっていても実際には目の前の事で精一杯で余裕なんてないんだと…。

全ては原題『Fucking Åmål』が物語っているが、若い時こそ大人や社会の常識に抵抗し「クソ喰らえっ」と思うくらいの方がちょうどいい。

それが一度しかない悩める青春と言うもの..★,
LEONkei

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