マヒロ

猿の惑星のマヒロのレビュー・感想・評価

猿の惑星(1968年製作の映画)
4.0
船長のテイラー(チャールトン・ヘストン)含む4人の宇宙飛行士は、長い宇宙旅行を終え地球に帰還しようとしていた。高速飛行によりはるか未来の地球に降り立つ予定の飛行士たちは冷凍睡眠に入るが、機器の故障により予想外の場所に墜落してしまう。そこは猿が高度な文明を持ち、知能の劣る人間たちを奴隷として扱う「猿の惑星」だった……というお話。

いわゆる「オチ」が有名すぎて何となく見てなかった作品だが、ようやく手をつけてみた。
リブート版しか観たことなかったが、結構『創世記』は今作と対比して作られてたんだなということが分かるのが面白かった。一番顕著なのはテイラーが猿達の前で初めて声を発する場面で、喉を怪我したという(若干無理やりな)理由で喋ることが出来ず、他の人間と同じく言葉を話せないと思われていたところを突然しゃべって驚かされるという展開は、まんま猿と人間をひっくり返して『創世記』でやってた。

良かったのは、大作らしく盛り立てられそうなところを敢えて抑えて演出している部分で、オープニングで1人語るテイラーが冷凍睡眠に入り『PLANET OF THE APES』のタイトルが出るまでの静けさ、最後に衝撃の事実を知って崩れ落ちるテイラーでバッサリ映画が終わり波の音だけがバックに流れるエンドクレジットなど、最初と最後の場面の素っ気なさがクールだった。
人間が築き上げた文明が滅びてしまうというテーマは、当時冷戦下にあった世界ならではの視点という感じで、突飛な設定ながらどこかシリアスな雰囲気が崩れないのも、こうなることに現実味があったからなのかなと思ったり。

猿の特殊メイクも現代の特撮と比べても遜色ないクオリティで、『ベンハー』よろしく半裸で酷い目に遭いまくるチャールトン・ヘストンの熱演もあり、有名作品というハードルを越えて楽しめる一作だった。

(2021.216)
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