マヒロ

狙撃者のマヒロのレビュー・感想・評価

狙撃者(1952年製作の映画)
4.0
(2024.40)
クリーニング屋で働く青年エディ・ミラー(アーサー・フランツ)は女性嫌悪を拗らせており、日々その憎悪を心のうちにしまい込んでいたが、ある日ある女性に蔑ろにされた事をきっかけに爆発し狙撃銃で撃ち殺してしまう。「自分を逮捕してくれ」という匿名の手紙を警察に出すなど罪の意識に苛まれつつも、歯止めが効かなくなり次々と犠牲者を生むエディを警察は追うがなかなか尻尾を掴めず……というお話。

ミソジニーに端を発する連続殺人事件を描いたサスペンス。主人公であるエディが何故そこまで女性を憎むのか?というところはハッキリとは描かれないが、ちょっとした行動の端々から過去のトラウマに起因するものなのではないかというところが示唆される。ドミトリク監督は人種差別を描いた『十字砲火』でもそうだったけど、社会問題とも言える人間の精神が抱える闇みたいなものを題材にする時、紋切り型の描写をするのではなく、しっかりその奥行きまで想像ができるような余白を持たせてくれるのが良いところだなと思った。

狙撃シーンもなかなか凝っており、窓の外から生活する人を長回しで捉えていると思ったら突然の銃撃で倒れたり(普通にびっくりした)、遠くでロープ作業をしている人が撃たれて力なく垂れ下がる様をそっけなく描いたりと、様々なバリエーションで死を見せてくる工夫が良かった。ラストカットの何とも言えない切なさと言い、細かいところに非凡さを感じさせる良作だったと思う。
マヒロ

マヒロ