マヒロ

ビートルジュースのマヒロのレビュー・感想・評価

ビートルジュース(1988年製作の映画)
3.0
(2024.39)
田舎町に住むアダム(アレック・ボールドウィン)とバーバラ(ジーナ・デイヴィス)は、ちょっとした車の事故であえなく命を落としてしまう。幽霊となった二人が空家になった家に戻ると、都会からやってきた金持ちの一家が越してきて好き勝手内装を作り変えていた。思い入れのある我が家を守りたいアダムとバーバラは何とか化かして追い出そうとするが上手くいかず、死後の世界で悪評の蔓延る胡散臭い男ビートルジュース(マイケル・キートン)に助けを求める……というお話。

常識の通用しないトリックスター的な狂人に変わり者のゴス娘、現実より賑やかで楽しそうな死後の世界、イビツでサイケな美術にチープなクリーチャーの造形など、ティム・バートンと言えば……と言われて思い浮かぶような要素がこれでもかと詰め込まれた純度100%バートン汁みたいな映画。物語の統合性とかは無視してとにかくやりたい事だけやってる感じで、簡単な導入の後はずっと好き勝手やってるだけの起承転結もクソもないような変な話が続くが、本国ではこれが大ヒットを飛ばしたらしく、つくづく不思議な国だなと思う。

確かにめちゃくちゃやってて楽しいっちゃ楽しいんだけど、あまりにも話にフックが無さすぎて見終わってすぐに映画に関する記憶が曖昧になってしまった。そういうアトラクション的な後腐れのない楽しさを狙ってるのだとしたらこれ以上ない作品ではあるんだけど、個人的には物足りなさを感じてしまった。
バートンらしさがたくさん詰め込まれたが故にとっ散らかってしまった印象で、これらの要素を煮詰めて綺麗に形作られたのが後の作品になってるのかなとも思えた。例えば死後の世界の楽しさを描いたのは『コープス・ブライド』、狂人の暴れっぷりを楽しめるのは『バットマン』、お金持ちのイヤミな一家とはぐれものの対決は『シザーハンズ』、人を食ったような悪ノリ続きの物語は『マーズアタック』……みたいな感じ。こう考えると、監督がこんなことできますよと名刺がわりに作った一作なのかなという気もしてくる。
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