風ノ助

ファニーとアレクサンデルの風ノ助のレビュー・感想・評価

ファニーとアレクサンデル(1982年製作の映画)
5.0
スウェーデンの富裕なエクダール一家の1907年から2年間の物語

プロローグは誰もいない大邸宅で遊んでいる10歳のアレクサンデルが不思議なものを目撃する場面から始まる
もうこれは大好きになる予感しかない

第一章はエクダール家の紹介の章で話は進まないけど豪華で美しいクリスマスディナーの様子を存分に楽しめます

三章以降は面白い人間ドラマが展開していき特に五章はサスペンスとオカルト風味も味わえてハラハラもします
不思議なことも起こるけど物語に違和感なく溶け込ませてました
幻想の演出はほんと好き!

エピローグは柔らかな色彩の中で幸せそうな一族の祝宴の風景
伯父のグスタフは
「エクダール家が住むのは狭い世界だ、いつかは壊れるかもしれないこの小さな世界を楽しみましょう」
と演説し完璧なフィナーレかと思いきやハッピーだけでは終わらず、光のあとに影を落とすところは痺れます

ベルイマンはアレクサンデルは私だ、と言っています
自分の中にも悪魔はいるのかもしれない
完璧ではない家族のあたたかさも残酷さも描き出しています

絢爛な大邸宅、松明が灯った雪道を進む馬車、厳かな葬送の様子、幻想的なヘレナの別荘などなど空想、幻想も入り混じった映像が大変美しいです
鑑賞後はなんとも言えない充足感に満たされました
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