らんらん

永遠の人のらんらんのレビュー・感想・評価

永遠の人(1961年製作の映画)
4.0
阿蘇を望む田舎の部落が舞台、各章で構成されその章ごとに戦前から戦後まで時間軸を移しながら綴られる物語

小作人の娘高峰秀子は佐田啓二とお互い想いあっている仲なんですが、佐田が兵役で留守の間に部落の村長の若旦那仲代達矢が横恋慕、手篭めにして無理矢理嫁にしちゃう
デコちゃんは身を投げるも失敗、帰郷し怒り狂った佐田と駆け落ちを約束するも、土壇場で佐田だけが蒸発、、、どうすることもできずそのまま嫁入りして時は流れる

デコちゃんは夫婦になって何年経とうがあの日の無体を許すことはできず、その時の子である長男(田村正和)もかわいがることが出来ない
仲代達矢も自分を憎む妻、妻の心にはいつまでも佐田啓二があることが許せなく辛くあたり、そして苦しむ

そんな歪な夫婦生活、愛憎劇を展開していきます
そんな家庭環境だから子供たちもいろいろあって、、、
次男のお母さんがお父さんを許さない限り、自分もお母さんを許さないって台詞がグサリと来ます

高峰秀子の気持ちもわからなくはないけど、かたくな過ぎますね、いくら時が経ち、3人の子を持とうが消えない思いがある、それがどうしてもどこかに出ちゃうから関係も歪になる
もちろん仲代達矢が悪いんだけど、、、どちらかと言うと仲代達矢の心理のほうがわかる気もするなー

うん、どっちもわからなくはないんだけどお互いが傷つけあい憎しみあう不幸の連鎖よね
それでも意地になって一緒にいる2人、ラストでは少し雪解けが見えたかのようではあるけど、、、今更あんまり変わらない気もするなー、ここまで来るとどっちもどっち

あとはこの映画ですっごい気になる劇中歌!
場の空気を読まないラテン的なBGMに、
「昔一人の女が〜、ソレガデスナ!ソレガデスネ!」とかシュールな歌詞と声の妙なテンションの歌が何度も流れてくる
これは流石にないでしょー!インパクトは凄いけど、なかなかぶち壊してるところも多いかと
らんらん

らんらん