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宇宙へのフロンティアのdiesixxのレビュー・感想・評価

宇宙へのフロンティア(1988年製作の映画)
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「アポロ計画」のアーカイブ映像をNASAの協力を得て再構成したドキュメンタリー映画。有人月面探査に至るまでの様々な技術的困難や政治的背景は最小限にとどめて、宇宙飛行士と管制司令室スタッフの通信が主流。映像は記録媒体によって違いがあるものの、かなり美しいものも含まれている。宇宙の広大な闇の中でぬくもりとうるおいをたたえた地球と灰色の大地が広がる月の対比が面白いが、どちらも美しい。
ニール・アームストロングが月に降り立ち、あまりにも有名なせりふを口にする場面はそれだけで感動するが、つづくバズ・オルドリンが「ニールにとっては小さな一歩が私には偉大だ」というジョークをかましていたことは初めて知った。全体的に宇宙飛行士と司令塔がつねにウィットに富んだ軽口をたたきあっているのが、興味深く、当時のアメリカのある種のオプティミズム(実際には冷戦による危機感はあったはずだが)を感じさせた。
パイロットがシャトル内で『2001年宇宙の旅』のテーマを聞くというこれまた冗談みたいな場面があったが、ということは、当然キューブリックは、アポロ計画の映像見る前からあの作品を完成させたことになり、あらためてそのイマジネーションに驚嘆もした。
クライテリオン4KUHDにて鑑賞。
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