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悪魔の手毬唄の821のレビュー・感想・評価

悪魔の手毬唄(1977年製作の映画)
3.5
市川崑の「犬神家の一族」シリーズ第二作。面白かったです。正統派のミステリーと、ムラ社会の陰湿さと薄気味悪さの漂う民間伝承が上手く組み合わさって。ジャパニーズホラー的な要素も若干あって、見応えのある作品でした。毎度月並みな感想なんですけど、時代を越えても変わらない面白さってすごい。おどろおどろしい演出でなんともゾクっとしました。

昭和に作られた作品だからこそ、現代では倫理的にNGになっていたり、描かれないようなブラックさも興味深かったです。出生にまつわるアレコレだったり、いわゆる「deformation」を若干のホラーとして扱うような演出だったり(こちらは近年『ミッド・サマー』でも使われてた技法で、流石に若干の物議をかましていましたが)。

あと、話は飛びますが、エヴァを履修した後に改めて市川崑監督作品を見るのが初めてだったので、庵野さんがいかに市川崑監督から影響を受けているのか、そのエッセンスを少し感じ取ったところも発見でした。明朝体はもちろん、フラッシュバック的にシーンを瞬間的に写し変える演出とか、それらがモノクロであったりするところとか。

私たちが現在楽しんでいる作品群に大きな影響を与えた、過去の偉大な作品たちを見るのは本当に楽しいですね。市川崑の金田一シリーズ、もう少し続くので引き続きぼちぼち鑑賞します。
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