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キートンの大列車追跡/キートン将軍/キートンの大列車強盗のshingoのレビュー・感想・評価

4.5
三大喜劇王の1人、バスター・キートンの代表作。ストーリーは奪われた機関車と恋人を取り戻すという世界一単純なもの。抱腹絶倒するようなギャグがあるわけでも鋭い風刺があるわけでもなく、ただアクションとスリルだけを武器にこれほどの名作に仕上げたことが感動的。

多彩なアングルから撮られる機関車のスピード感溢れるカーチェイスに(機関車でもカーチェイスと言うのかは分からないが)、アニメのキャラクターのようにちょこまかと動き回るキートン。命懸けのスタントシーンを常に無表情でスマートに演じ続ける姿はクールでかっこ良すぎる。キートンの体を張ったアクション以外にも、おびただしい数の兵士や馬によるモブシーンに加え、機関車が橋の上から落下する迫力満点のサービスシーンといい、全編に滾るスペクタクルはもはや喜劇の域を飛び越えていて、何かもう凄すぎて言葉にならない。

ヒューマニズムやペーソスを武器にしたチャップリンとは全く違う魅力のある作品。チャップリンと違って全盛期は短く、晩年は不遇だったらしいが、本作の魂は90年後に怒りのデスロードに受け継がれている(さらっと書いたが90年後ってとんでもない話だ)。
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