いの

コラテラルのいののレビュー・感想・評価

コラテラル(2004年製作の映画)
4.5
主役はトム・クルーズとジェイミー・フォックス、そしてロサンジェルスの夜の街並み、この三つ巴。三者が遭遇することでうまれる奇跡(と言ってもいいと思う)。わたしは今作のトム・クルーズがトム・クルーズ史上一番好きかも(ってほとんど出演作観てませんっ)。ヴィンセントという役名すら記憶に刻みたいくらい。(完璧な殺し屋)からほんの僅かに(完璧な)をマイナスすると、今回の役になる。その匙加減が素晴らしい。彼の最後の台詞もすんごく味わい深い。


ジェイミー・フォックスが演じるのはタクシー運転手の役。ピカイチ腕の良い運転手ということが、映像でじゅうぶん伝わってくる。すごく滑らかな運転。客が“降りたくなくなるくらい”の。それが映像から伝わってくるって、すごいことではないのかしら。


突然の出来事がいっぱい起きて、追われたりガラスが思い切り割れたりするのに、なぜか静謐なイメージを失わない。夜の街の孤独さや寡黙さや、少しのあたたかみを映像が失わないことにも感嘆する。


殺し屋と運転手。ジェイミー・フォックスが演じるマックスの夢は、“いつかいつか叶えたい夢”で、でもそれを叶えたいのは今じゃなくて、いつかいつか。いつかいつかって思ってるうちは、そのいつかは永遠にやってこないのよね。ヴィンセントとの出会いから、彼の常識が強烈に揺さぶられていくのが、なんだか自分のことのようによくわかる気がしてしまう。だから観ていてホントに面白い。ジェイダ・ピンケット=スミスとの出会い&やり取りも最高。色んな所に散りばめた仕掛けが、色んな所に繋がっていって、深いぞ。およそ20年ほど前のマーク・ラファロやハビエル・バルデムの姿を見ることができたのもうれしい。この映画もこれから何度でも観ちゃいそう。
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