おなべ

ブレア・ウィッチ・プロジェクトのおなべのレビュー・感想・評価

3.6
「本当にあったフィルム」「実際の出来事」であるという設定で宣伝され、それが当たりに当たり世界中で話題を呼んだ。モキュメンタリー映画のパイオニアと称される本作はPOVによる斬新な撮影技法が特徴的なホラー作品。錯乱状態の演技力が尋常じゃないのは、演技では無く本当に怖がっているから。と言うのも、撮影の時点から役者自体を騙すという奇抜な発想が大当たり、他にも様々な工夫により限りなくリアリティに富んだ作品仕様になっている。

ドキュメンタリー自主制作映画を製作する為に三人の学生は、地元の都市伝説「ブレア・ウィッチ」が存在するというバーキッツヴィルの森に足を踏み入れる。都市伝説を解明する為に奥地へと歩を進めるが途中で奇妙な怪奇現象に遭遇。以降、地図を無くして遭難、仲間の1人は誰も居る筈の無い森で笑い声や子供の声を聴く。薄暗い森の奥底に誘われ三人は次第に狂乱していく。

[細かな設定がリアル]
◉都市伝説や事件を恰も本当にあった出来事のように準え、信憑性を付加するという非常に凝った脚本や演出が見事に物語に嵌っていた。
(例)
▪ 1825年 アイリーン・トリクール事件
▪ 1886年 コフィン・ロック事件
▪ 1941年  ラスティン・パー事件

更に、撮影過程でさえ物資調達も直接手渡しではなく離れた所から間接的に渡すという常軌を逸脱した拘り具合。加えて、三人いる内の一人にだけ他の人には秘密で即興で次の動きを指示する事で他の二人は本物のパニックを引き起こし、よりリアルな恐怖映像を追求している。

上述したように細かでリアルな設定や畏怖を掻き立てる様な演出、また、前置きで後から徐々に恐怖が効いてくるような伏線を散りばめたり、敢えて恐怖の対象物の姿や形を見せないようにしたりと、正に怖さの本質を突いた見事なホラー映画である。
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