御大、山本嘉次郎監督作品。それだけに、一般的なクレージー映画に見られるはっちゃけぶりやスピード感は薄い。エネルギーも不足気味。とはいえ、有島一郎のぶっ飛び方とか、助六衣装に身を包んだ植木等の艶やかさとか、ぶちまけられた油に全員がすってんころりんしながらのドタバタとか、見どころはあるし、手堅くキッチリ面白いという印象。
具体的に言うと、池内淳子が堂々の花魁っぷりであるのに対し、団令子は現代的すぎてさっぱり花魁に見えないが、そもそも江戸市中にボウリング場があったりする位だからそれほど気にならない、くらいの弾け方。
ところで、本作は公開時、「三大怪獣 地球最大の決戦」と併映。当時の観客はキングギドラとクレージーをいっぺんに見ていたわけで、毎度思うことではあるが、それでノー・プロブレムだったんだろうか。きっと、映画ならとにかく何でも見たいという、幸せな時代だったに違いない。