OASIS

タチャ イカサマ師のOASISのレビュー・感想・評価

タチャ イカサマ師(2006年製作の映画)
3.2
賭博の世界に生きる凄腕のイカサマ師「タチャ」の世界を描いた「マラソン」等のチョ・スンウ主演のサスペンス。

小さな工場で働く青年ゴニは、3年間こつこつと貯めた金を花札でイカサマにかけられ、一瞬にして失ってしまう。
そして復讐の為、伝説のタチャと呼ばれるピョンに弟子入りする事に...。
花札はおろか麻雀やパチンコすらやった事は無いのだが「カイジ」や「嘘喰い」なんかは好んで読んでいたりするので、主人公と同じでどこか心の奥底ではタマとられるかとられないかの世界に身を置いてみたいと思っているのかもしれない。
男の子ってそういうものじゃないだろうか。

1.非情であれ
2.賭場にイカサマはつきもの
3.欲を出すな
4.永遠の敵も共もない
というタチャ心得のフレーズの若干中二病的な魅力には惹かれるものがあるし、そのルールを軽んじて甘く見た主人公や相棒が、指を砕かれ腕を切られと取り返しのつかない痛い目に遭うという反面教師的な教訓もある。
勝負の世界に欠かせない色仕掛け担当、賭博の花こと仕掛け人のキム・ヘスのファム・ファタルぶりはビンビンと下半身に響くし、主人公やあらゆる大物達を絡めとって行く結構な脱ぎっぷりは中々見応えあり(とっさき見えます)。

主人公がピョンに弟子入りし、華麗な手捌きを会得して行く辺りはその四苦八苦する様子とテンポの良さで気にはならなかったのだが、2時間20分もあるので中盤になると中弛みが激しく、師匠の出番が無くなってからは一気に失速した印象だった。
主人公と相棒がお互い恋人を見つけ一緒に暮らし始める辺りと、仕掛け人が主人公に自分のカモを喰わせようと裏であれこれ手回しする部分があまり派手な動きが無くて退屈に感じてしまった。

ジャッキとアグィという師匠と同レベルのタチャ達とバトルをしながら経験を積んで行くという展開かと思いきやそうでも無くて、勝利か敗北よりもイカサマを見切れるか見切れないかという部分が重要なので場が中断される事が多いのもスカッとしない原因か。
特に、キム・ユンソク演じるアグィはヘラヘラ笑いながらハンマーで相棒の腕を粉々に砕くという中々のイカレキャラなのだが、そこはやはり純粋な勝利で報復してもらいたかったと思う。

チョ・スンウの、相手の神経を逆撫でし嘲笑しまくるキャラクターは主人公としては好きになれず格好良さも感じられなかったが、命懸けのゲームの世界に自ら踏み込んで行く狂人的な男としては受け付けられないと思わせるくらいの方が良い。
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