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隣る人の一のレビュー・感想・評価

隣る人(2011年製作の映画)
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ひとりの職員が受け持った子供たちと寝食を共にし家族同然の生活をする"責任担当制"なるシステムを採る児童養護施設のドキュメンタリー。面白い(ガキはマジでおもろいのだ)し、素晴らしい。反芻するたびに感慨がこみ上げてくる。ナレーションもテロップ処理もなく、ただただ画面に映るのは生活。一般的な"施設の可哀想な子供"と"献身的な職員"を超えた関係性を観ていて思い出したのは、母親に抱きつくのが好きだった僕自身の子供時代だった。それってつまり、企画者の方が話されていたように、"血より濃い水"は当然あり得るということだ。担当替えに全身全霊で抗い泣き叫ぶマイカという子の姿、それを神妙な顔で見つめていたむっちゃんがノートに書き殴る「マリコさん 大好き 大好き 大好き 大好き…」の文字、そのマリコさんの布団に突っ伏して「世界で一番いい匂い」と呟くマリナ、忘れ難い場面がいくつもある。ジジイが連れていた散歩犬のネーミングセンスに「このクソジジイが」と怒り、帰宅を促す町内放送に「うるせーんだよ 黙れよ」と悪態つきまくる、荒れたむっちゃんもとても好きである。
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