スガシュウヘイ

惑星ソラリスのスガシュウヘイのレビュー・感想・評価

惑星ソラリス(1972年製作の映画)
3.0
本作が特異的なのは、まず普通、映画において“地球外生命体”といったら、敵対的なものか友好的なものか、そのどちらかだと思うが、本作の場合は、そのどちらでもないという所。ただ何もせずそこにあるだけ。

そして、地球外生命体といったらたいてい人型か獣型になると思うが、本作はなんと海!知性をもつ有機体であるソラリスの海なのだ。目とか口とか手足とか、そんなものはない。そもそも形すらない。こんなものとどう対峙するのか。


ソラリスの海は、人間にあまりにもリアルな幻覚を見せる。では、その幻覚と現実の人間との違いとは、一体何なのか。「人間」の定義にせまる哲学的SF。

「我思う、ゆえに、我あり」と言ったデカルトおじさんの言葉を思い出す。本当にそうかもな。結局、今自分がここにいる、ということ以外に確かなことなんて何もないのかもしれないなぁ〜。
、、、などという哲学的な感傷に浸れる映画。浸ってどうするんだ。何の役にも立たないぞ笑。


映画史上もっとも眠くなる監督、アンドレイ・タルコフスキー。たまに映画雑誌を読んでいても「眠くなる」と書いてある時がある。そんなこと評論家が言っていいのか?しかし、正直だ。


映画を語る上では避けて通れぬ監督であり作品。私も完全に理解したとは言えない。というか、本作に完全な解答などないだろう。十分な睡眠をとった上で再度挑戦したい。


公開:1972年
製作:ソ連
監督:アンドレイ・タルコフスキー
原作:スタニスワフ・レム
受賞:カンヌ国際映画祭審査員特別賞ほか。