サマータイムブルース

盲獣のサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

盲獣(1969年製作の映画)
3.8
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原作は江戸川乱歩さん
キャストほぼ3人

島アキ(緑魔子さん)・・・ヌードモデル
蘇父道夫(船越英二さん)・・・盲目のあん摩師
蘇父しの(千石規子さん)・・・その母

冒頭の、アートヌード写真展の会場で、アキをモデルにした裸婦像を舐めるように触る男性の姿を見ただけで、あっ、これは変態映画なんだな、と理解できます
船越英二さん、人のいい、真面目な印象しかなかったけど、こんな役もやるのか
盲目の演技はとても良かったです

この映画を文字で表現すると・・・
変態、エロ、マザコン、アート、サイケデリック、シュール、ストックホルム症候群、マゾヒズム、コンプレックス、嫉妬
て感じになるでしょうか

とりあえず、“めくら”連呼し過ぎ
あと“キチガイ”も
1969年、この時代、差別用語も禁句もあったもんじゃありません
今テレビでやる時は、「放送上不適切な表現がありますが、製作者の意図を尊重してそのまま放送します」と、テロップが入るやつです

生まれつき目の見えない道夫は母親の溺愛を受けて育ちます
成人した彼は、母親と2人でヌードモデルのアキを誘拐し、人里離れた小屋に監禁します
そこは、大量の目、鼻、耳、口、乳房、腕、足など、女性のパーツのオブジェで溢れた、彼のアトリエだったのです

道夫は言います
めくらの世界に残されているもの、それは、音、匂い、味・・・、ただし、それらはどうでも良いつまらないもの
残る“触覚”こそがたった一つの楽しみなのだと
彼は若い女性の体を触って彫刻を作るのを唯一の趣味としていました

アキは、その為に道夫が見つけてきた最高の女性だったのです
道夫はアキをモデルに究極の作品を作ろうとしているのでした

当然アキはなんとかそこから逃げ出そうとするのですが・・・
後半のカオスな展開にびっくり

これが変態映画なのか、アートなのかは見る人によって判断分かれそう
私は変態映画に1票です

皆様、良いお年を!!