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盲獣のTSのレビュー・感想・評価

盲獣(1969年製作の映画)
4.0
【美を追求する獣】85点
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監督:増村保造
製作国:日本
ジャンル:スリラー・エロティック
収録時間:84分
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マジで狂ってた。タイトルが的を得てすぎていて怖い。盲目の男が一人の女性の体に興味を持ち、自分の奇妙なアトリエに誘拐し、その女性の彫刻を作っていくというもの。これだけでも十分に恐ろしいですが、今作の結末はその予想斜め上をいきます。そして見終わった後、これはとんでもない作品だと実感する自分がいました。官能的、サイコパス的でありますが最後まで見れてしまう。一体これは何なのでしょうか。なお、タイトルが『盲獣』であるためそれに連動して「盲目」という語も使用させてもらいます。本来避けるべき語句なのかもしれませんが今回は使わせていただきます。

まず、盲目の男を演じた船越英二が凄かったです。どこかわからない上の方を見る彼のその眼差しは、盲目の男を完全に演じ切っています。そして行動に反するような優しさ。誘拐された例の女性は自分のヌード写真で個展を開いていて、盲目の男は母親の協力を得て彼女をなんとか自分のアトリエに連れていきます。このアトリエも常軌を逸している空間でして、人間の部位の彫刻が四方八方に存在するのです。巨大な乳房の彫刻の上で盲目の男から女が逃げ回るシーンは何とも奇妙。そして更に恐ろしいことに、今作の舞台はこのアトリエが全てとなります。登場人物は盲目の男、その母親、誘拐された女の三人だけ。こんなカオスな状況において、事はどんどんエスカレートしていきます。

改めて触覚の凄さというか存在意義を再確認出来ましたし、人間は極限状態になると何に快楽を求めるのかわからないということも理解出来ました。そして今作の最大の驚愕の事実は、盲目の男の存在でもなくその母親の行為でもなく、その女の心境の変化にありました。これには唖然。人間というのは実に不思議な生き物です。

今作を手に取る方というのは、恐らく今作がどういうものなのかを大体予想している方になるでしょう。エログロはまだ抑えめですが、只ならぬ異様な空気を終始醸し出しています。控えめに言ってもかなりの作品です。
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