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無垢の祈りのTSのレビュー・感想・評価

無垢の祈り(2015年製作の映画)
3.8
【絶望の渦中】81点
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監督:亀井亨
製作国:日本
ジャンル:ホラー
収録時間:85分
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 全く救いようのない映画。幼児虐待がテーマの作品なので、最初から最後まで光が見えず、育つ環境によってここまで人の人生というのは左右されるのかと痛烈に思わされる映画でした。自分自身、こういう環境で育たなかったので、他人事みたいに言ってしまうと恐縮であるのですが、つくづく幸せであるのだなと感じられてしまいます。無論、映画独特の大袈裟な要素はあるものの、これに近い家庭環境で育った人も少なからずいるのでしょう。無垢の祈りというタイトルを読み取っても、救いがないなと思えてしまい悲しくなります。

 主人公のフミは10歳の小学生なのですが、学校でいじめられて「オバケフミ」という張り紙をランドセルに貼られていました。そんな中、帰宅しても再婚した義父が母親に暴力を振るう始末。その暴力は母親だけに留まらずにフミにも振り翳されます。入浴してる時の義父の理不尽とも言える言動には吐き気がします。学校も地獄、家庭も地獄、安住の地がないフミは、あろうことか連続殺人鬼に縋っていきます。連続殺人鬼の遺体解体シーンは『冷たい熱帯魚』を彷彿させられます。なんでこんな連続殺人鬼を放置してるのかと思わずにはいられませんが、フミは直接会えないものの、確かにこの連続殺人鬼に近づいていくのです。

 あの不気味な人形も然り、宗教に縋る母親の姿、義父の作り笑いその全てが異様です。こんな世界なら死んだ方がマシだと思えてしまうのも無理はありません。ラストのシーンはやはりショッキングです。そんなことをフミから言わしてしまえば、この世も終わりだなと感じられました。R18ですが、胸糞悪い、ショッキングな映画を求めている人は是非。アップリンククラウドで、Vimeo経由で視聴することができます。ジャンルはホラーにしましたが、ホラーという言葉ですませていいのかと、やや疑問に思います。。
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