こたつむり

呪われたジェシカのこたつむりのレビュー・感想・評価

呪われたジェシカ(1971年製作の映画)
2.5
♪ 僕が壊れても ねぇ、わからないでしょ?
  もう、君の事なんか わからないくらい…

1971年のホラー映画。
前半30分はとても恐ろしい展開でした。
何しろ全貌が見えませんからね。とても不安定な気持ちになったのです。

何故、墓場から始まるのか。
何故、主人公は“声”が聴こえるのか。
何故、住民たちは余所者を排除するのか。

ゆらり、ゆらりと。
視線は泳ぎ、呼吸は浅く。
世界は夕陽の赤に染まり。
ジィジィと侵食するノイズ。
もうね。何度も逃げ出そうと思いましたよ。

しかも、古い映画だから粒子が粗く。
その“雑さ加減”が怖いわけで。
闇を恐れるのは人間の本能。説明しないことが重要なのです。

しかし、幽霊の正体見たり枯れ尾花。
恐怖の正体が●●●だと気付いた瞬間。
思わず拳はグリングリンと回り、求めるのは糖分。口を動かしていないと眠りそうになるくらいに退屈でした。

確かに物語の歩みは亀のように鈍重。
現代の目まぐるしいテンポに慣れていれば、本作の追いつめ方は甘いと思います。しかも「説明が少ない=主人公の背景が分からない」となり、彼女に心を重ねることが難しいのです。

ただ、製作された時期を鑑みれば。
一世風靡した『エクソシスト』は本作の2年後。本作と同じ味わいの『悪魔のいけにえ』は更に1年後。この“甘さ”は仕方がない話なのです。歴史を学ぶ気持ちで臨んだほうが良いのでしょう。

まあ、そんなわけで。
恐怖の正体に気付くまでが華の作品。
本作のモチーフが▲▲▲だと気付いた瞬間に、好奇心が霧散する可能性もありますからね。出来ることならば、脳髄に至る神経を二三本切っておいたほうが良いのかも。

つまり、ロボトミー。
さあ、その白い殻を開けましょう…うふふふ。
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