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二百三高地のjamiのレビュー・感想・評価

二百三高地(1980年製作の映画)
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こんな傑作が創れたら
もし今の時代にこれほどの大傑作が映画でも漫画でも小説でも
生まれたとしたら
世界がひっくり返る。
言葉が失われていない時代が描かれている。それぞれの演技が放つナチュラルでパワフルな存在感も凄まじい。一体何を取り戻せば、人類はこんな作品が作れるようになるのか。たとえばそれは、「インテリジェンス」なのかもしれないし、今はまだ答えが出ない。40年間かけて失ったと思われるものは、しかしきっと取り戻せる。各方、爛熟したがバランスが失われたのかもしれない。『グレイマン』も『ドライブマイカー』もある文脈において素晴らしい洗練、他方「無」だ。つまりこういうことなのかもしれない。
芥川賞と直木賞を分けるような感性が、日本に限らず一般化した40年だったのではないか。コンセプトはもっと曖昧であるべきだった。「荒削り」が美点だとすれば、「不親切さ」が尊いということだ。互いの洗練を折衷するときはきた。

どうでもいいことだが、ミッドポイントに碑が如く歌曲が差し込まれる。ミッドポイントはここだとしるべを立てるかのように。変な構成だが「大きな作品」は本当に堂々としていて、やはり倣うべき何かがある。インターミッションにしては大仰であり、何かを気負っているが、その気負いとは、おそらくはやはりインテリジェンスである。つまり過去も未来も見通せる総括力や想像力こそが、キャラクターとアートのアウフヘーベンには欠かせないはずだ。全身全霊の作品が再び爆誕しうる時代である。人間、まだまだいけるはずだ。で、どう考えても日本人は底知れない。つまり、やはり世界をひっくり返すような作品は、「漫画界」に現れるのではないだろうか。これは決して突飛な帰結ではないはずだ。
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