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ホフマン物語のくりふのレビュー・感想・評価

ホフマン物語(1951年製作の映画)
2.5
【歌って踊れない】

退屈でしたが、珍作なのと、出演者の魅力が少しあったので投稿します。

『赤い靴』の主要メンバーが再結集して、オペラ「ホフマン物語」を映画化。バレエ・ダンサーが踊りながらオペラを歌う、というのがたぶん本作の肝。

が当然、プロのバレエ・ダンサーは実際には歌えないから、声はアテてます。二大伝統芸能力の相乗効果を狙ったのでしょうが、これ相殺効果だと思う。どうもヘンですわ。ギャグなのだろうか、と悩んじゃいました。背負ってる文化の違いでわからないこともある、こともわかるんですが…。

演者の力点が違いますからね。ダンサーは踊ることに全力込めるから、口はおろそか。ただの口パクにしか見えず、日本的にいえば馬鹿っぽい。これなら普通にオペラつくった方が面白いんじゃないかなあ。

作り手もそれに気づいたのでしょうか、途中から段々、踊らなくなります。オムニバス風3話構成なので、元々そうだったのかもしれませんが。

詩人E.T.A.ホフマンが、3人の女との恋を回想していくお話で、第1話の相手がモイラ・シアラーさんです。単純に彼女の舞いを楽しむなら『赤い靴』よりこちらの方がよいかも。特殊効果もなく、彼女のスキル頼みなシーンがじっくり続きます。

『赤い靴』の時よりスリムになった分、顔立ちはやつれた感がありますが。あちらでも踊っていた「コッペリア」と同じネタで人形役。合ってますね。彼女、この後出演の『ブラック・タイツ』はかなり綺麗らしい。見てみたい。

第2話の相手が『赤い靴』でプリマ役だった、リュドミラ・チェリーナさん。あちらでは太いしドタドタ踊ってんなあ…と印象悪かったんですが、彼女も何故かスリムに。で、黒づくめの娼婦役でなかなかのフェロモン放出。ぴったりむっちりブラック・タイツが本作いちばんの見どころです(笑)。

でも、彼女踊れるのに踊らないですね。踊り出したら歌い出すでしょうから、そしたら笑っちゃうでしょうから、それはそれで困りものなんですけど。

第3話の相手はだれだっけ、忘れました。このへんになるとかなりの脱力状態となって、み続けるのに苦労しました。黒子が黒子なのに「出演」しちゃうクオリティにはズッコケちゃいましたよ。

撮影も『赤い靴』同様、ジャック・カーディフだったら、絵的な面白さもまた違ったんだろうな、と思いました。

<2012.6.14記>
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