JunIwaoka

FAKEのJunIwaokaのレビュー・感想・評価

FAKE(2016年製作の映画)
1.0
2016.7.3 @ ユーロスペース

テレビや新聞を見なくなって久しいからゴーストライター騒動を知らなかった。映画を観て新垣隆の顔に見覚えがあったから、ただこの騒動に関心がなかっただけだろう。
話題作だけあって観に行ったけど、よさがサッパリ分からなかった。なぜなら森達也は感情的に(たぶん嫌いであろう)テレビがふっかけたケンカを受け、それを利用したように思ったから。
FAKEというタイトルが意図するメディアが描く虚像について異論はない。話題性のある人をピックアップして、パーソナリティに結びつけ、持て囃しては落とし、事実よりも人が見たいと思うであろう事だけを伝える。そういった手法を森達也も使っていて、佐村河内守を味方だよって顔して印象操作することで特定の人を明確に攻撃している。佐村河内守という人はたぶん気が弱いんだろうな。この映画の中で唯一真実に迫ろうしようとした海外紙のインタビューにしどろもどろする姿は十分疑わしいし、森達也の誘導尋問的な質問にやらせかと疑う夫婦愛。森達也自身があまり関心ないように(見えた)、耳が聴こえるとか聴こえないとか、なにが事実なのか途中からどうでもよくなった。そういったドキュメンタリー映画自身の本質を問うやり方もどうかと思う。劇中のフジテレビのバラエティ番組と一緒で、タイトルがダブル・ミーニングだとしたら、この映画もまた虚構という気がした。

連日立ち見ありの客席はこれ観てなにが面白いんだろうって考えてたけど、新垣隆側のメディアを使った可笑しいネガティヴキャンペーンが盛り上がったおかげで、この映画も客が入るのかって思ったらウンザリした。おとなのケンカには興味がない。
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