ガブXスカイウォーカー

夜逃げ屋本舗のガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

夜逃げ屋本舗(1992年製作の映画)
3.7
本作の公開はバブル崩壊直後(登場人物たちのバブリィなファッションがじつに懐かしい)。合法的に顧客の自己破産(踏み倒し)の手伝いをする夜逃げ屋と言う設定は、バブルのツケだらけの当時にはまさにドンピシャ。3本も製作されたのもわかる。
顧客たちの借金理由は、浪費癖、儲け話の保証人、世間知らずの田舎者、見栄っ張りなど大半が同情できないものばかりなので、夜逃げ屋と顧客よりも追いかけてくる借金取り(大竹しのぶ名演)の方に感情移入してしまう。どれだけ夜逃げ屋が顧客たちをかばう理屈を並べようと共感は出来ない(病気、ケガなどやむを得ない借金ならばわかるのだが)。
しかし、『夜逃げ屋本舗』は決して夜逃げを成功させるだけのコメディではない。夜逃げ屋が一流好きのエリート・ビジネスマンのマンション、家具などをほぼ無断で全て売り払って借金をチャラにする(生ぬるいか?)など、ちゃんと安易な借金の恐ろしさも訴えてはいる。同時に借金のない観客には愚かな債務者たちを見ることで優越感も抱かせてくれる。「借金」は法律が変わろうとも、いつの時代にも共通するテーマなのだ。『ミナミの帝王』、『ウシジマくん』、『ナニワ金融道』など借金物が好きな人にはお薦めのコメディである。