言論の統制と闘ったスタンダップ・コメディアンのレニー・ブルースの生涯。演じる若きダスティン・ホフマンがとても魅力的でした。恋するレニーの愛らしさ、真面目な顔してもどこか本気でない感じ、心細そうな困った表情、強気に出ても暴力的に見えない。ワイセツな言葉を放っても下品にならない。差別的な言葉を使って、偽善を暴く。名優の演技炸裂でした。
レニー・ブルースは当時のタブーを破り、差別的言葉やNGワードを用いて社会風刺をして人気を博しましたが、公で禁止された言葉を用いたことで何度も逮捕されます。
偽善を嫌い、言葉の統制に抵抗し、隠れた差別を公にさらしたことで観客は喜びましたが、度重なる逮捕と裁判で仕事を干され、40歳で亡くなります。
離婚した妻のインタビューが挟まれながら、妻がどれだけレニーを理解していたかがわかります。「私たちはいつもふざけていた。彼はただ面白い人でいただけなんです」
没後、レニーは「言論の自由」の象徴となりました。今なら映画でも頻繁に耳にする言葉や身振りが1960年代は、逮捕されるほどのことだったとは驚きです。
当時、日本はどうだったのか、気になりました。「公然」の概念の違いもありそう。