『キングス&クイーン』アルノー・デプレシャン監督の監督デビュー作。自殺を図ったパトリックのために集まった親戚たちを描く群像ドラマ。
一時間弱の中編だが、既にデプレシャン節が炸裂している。家族の不和と崩壊を特異とするデプレシャンならではのストーリーであり、彼の演出スタイルも確立されている。
親戚が危篤状態というのに他愛のない会話に終始する男たち、それに呆れつつも会話に参加する女たち。一人の他者の視点で描くのが実にユニークだ。
家族といえどこんなものでしょというデプレシャンの視点が冷徹で怖い。彼の家族観や死生観がよく出た作品だ。