Omizu

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3.6
【第74回カンヌ映画祭 コンペティション部門出品】
『8人の女たち』フランソワ・オゾン監督のヒューマンドラマ。カンヌ映画祭コンペに出品され、リュミエール賞では主演女優賞と主演男優賞にノミネートされた。

流石のオゾン。淀みなく語っていくストーリーテリングの気持ちよさが心地よい。『グレース・オブ・ゴッド』の系譜にある真面目な作品。

個人的にはもっと変態性を押し出したオゾンが好きだが、重いテーマを爽やかに描く手腕は流石としか言いようがない。

ソフィー・マルソーの入魂の演技も素晴らしい。『海を飛ぶ夢』なんかで幾度となく描かれてきた尊厳死だが、見事にオゾン流に調理されている。

とにかく真面目な作品で、いつもの遊び心は皆無。本当に父は尊厳死を選ぶのか、緊張感もしっかり描かれている。ソフィー・マルソー演じる娘は父と死の意志をどう向き合っていくのか。そうした心情も丁寧にすくい上げている。

スイスに行けば自由に尊厳死ができるのかと思っていたのだが、終盤はなかなかのサスペンスになっていく。警察に追われ必死に交わしていく。

自分としては『苦い涙』系のオゾンの方が好きだが、これはこれで意義のある社会派作品になっている。秀作。
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